ルーズショルダー

ルーズショルダ―とは肩の関節が抜けやすく不安定な状態になっている状態の事です。特に肩の反復運動を繰り返すスポーツ選手に多いですが、生まれつき靭帯が緩い遺伝性の方もいます。

ルーズショルダーは急性的に起きるケガではなく長い時間をかけて肩の反復運動によって起きるものです。ルーズショルダーで一番多いのは肩関節を支えている腱板機能の低下によるものが一番多いとおもいます。

支えている腱板は回旋筋腱板と言い肩甲下筋・棘上筋・棘下筋・小円筋の四つの筋肉によって構成されています。この4つの筋肉はいわゆるインナーマッスルと言われている筋肉です。このインナーマッスルの力が弱かったり、バランスを崩してきたりすると関節を支えきれなくなり肩が抜けやすくなります。

最近特に学生で野球をやっている子に多くみられます。ボールを投げる事だけに一生懸命になりすぎてインナーマッスルのトレーニングをしていないと言う子供達によく会います。インナーマッスルは小さな筋肉ですが運動をする上でとても重要な筋肉です。特に小学生くらいだと自分からトレーニングをすると言う考えは難しいかもしれませんので現場の指導者がきちんと教えると言う事が子供達の将来の為にも必要な事だとおもいます。

40肩・50肩

肩関節周囲炎とは皆様がよく聞く四十肩・五十肩の事です。症状の出方は肩、もしくは肩から上腕(力こぶができる所)への痛みと肩関節の動きが制限されてきます。特に急性期では炎症がある腱板(肩の筋肉が上腕骨頭につく所)や肩峰下滑液包(肩関節の動きをよくする袋)の痛みがありますがその周りの組織達にも炎症が起きる事もあり肩関節の広範囲に強い痛みを感じたり肩から上腕にかけての痛みも出ることがあります。

原因としては、年齢とともに肩関節を作っている組織が衰えていき動きが悪くなり肩関節周囲の部分が炎症を起こして痛みが起こります。どうしても年齢とともに運動をする時間が仕事や家族との時間の都合によってとれなくなったり、体力の衰えから運動をする時間が難しくなってくるとは思います。日常生活のなかで気付いたときに肩や肩甲骨を動かすということをしていただければと思います。

ただやみくもに動かしたり、運動の仕方が分からない方もいらっしゃると思いますので気軽に当院へご相談下さい!
肩関節周囲炎になってからでは治療にも時間がかかるケースが多いので痛みがでないように予防をできるだけすることも大切だと思います。

肩関節周囲炎になってしまってからでは日常生活にも支障がでます。肩や腕を上に挙げる動作もつらくなり服を着る動作や髪や体を洗う動作まで痛みでやりづらくなります。又、そのままの状態にしておいて痛みが徐々に引いていくケースもありますが肩を動かさないで固定した状態のままにして痛みが引いたとしても肩関節自体に癒着などが起きて肩関節の可動域制限がおきリハビリ時に痛みがでるケースもありますので肩が痛い・肩が上げづらい・安静にしていても肩に痛みを感じるなどの痛みを感じたら我慢せずに診てもらって下さい。早期発見・早期治療が一番ベストだと思います。

肩凝り

現在、肩凝りで悩んでいる方は多いと思います。男性も女性にも起こりえるのですが女性のほうが好発しやすいとおもいます。

肩凝りは現代ではストレス・パソコンなどによる肩や肘を張った作業・疲労による睡眠不足、同じ姿勢で長時間いることも筋肉が緊張しやすく凝りの原因にもなります。特に僧帽筋といった大きな筋肉が緊張し肩凝りの要因になることが多いとおもいます。僧帽筋と言う筋肉は首から肩甲骨にかけて付いている筋肉で肩や腕の重みをすべて支えているので普段の生活でもつねに負担はかかっています。

肩凝りを誘発する疾患として頸椎症胸郭出口症候群と言ったものもあります。

このように肩凝りは様々な疾患や症状から起こりますので肩凝りがひどくなる前に治療をする事をおススメ致します。

上腕骨骨端線離開(リトルリーガーショルダー)

当院に野球をしている子供達が、肩の痛みで来院することが多くあります。その中でも上腕骨骨端線離開(リトルリーガーショルダー)の症状を訴えて来院する患者さんも結構います。

リトルリーガーショルダーとは、成長期の子供が、投球動作などで、腕の成長骨端線に捻じれなどの繰り返し過度な負担がかかることによって、成長骨端線が離開した状態のことです。

症状としては

  • 投球時の痛み
  • 肩、腕周辺の筋肉の強い緊張
  • 腕を内側、外側に捻る動作を強制的に他人がした時に強い痛みを感じる
  • 肩、腕を押した時に強い痛み
  • 痛みがひどい時は肩、腕を挙げれない痛みを感じる
  • 症状が進行した場合は日常生活においても痛みを感じるようになる

などがあります。

原因としては、

  • 肩関節の筋肉や関節の柔軟性の低下
  • 股関節の筋肉や関節の柔軟性の低下
  • 上半身主導の力任せの投球動作
  • 下半身を使えてない投球動作
  • 過剰な投球数

などが考えられます。

その他にも、軟式から硬式にボールが変わったことによる肩の負担や、練習量の増加、中学生になると変化球を覚えて投げる事にもなって肩や腕に対する負担は多くかかってきます。特に成長期の骨が完成してない子供にとっての投球における変化球の多投は思っている以上の負担です。

少しでも肩、腕のハリや違和感を感じたら体が負担のサインを出している状態なので我慢したり、無理してそのまま投球を続けるのではなく早目の治療で肩や腕の筋肉の緊張やストレスを取り除いてあげることが大事だと思います。

もし、痛みが進行して骨端線が離開してしまっていたら、安静にして離開が治るまで待つしかありませんが、投球をしない間でも、筋肉の柔軟性を上げたり、関節の可動域を上げたり、投球フォームを見直したり、ケガが治って投球を開始した時に再発しないように備えておくことも大事だと思います。

痛みが少し軽減してきたからと焦ってやりはじめても再発してしまっては、さらに安静にする期間が長くなり、練習できなくなるので、しっかりと離開が治癒してから段階的に投球練習を再開した方が良いと思います。

また、このケガは野球だけではなく肩の回旋運動(肩を回す運動)や内旋、外旋運動(内側や外側に捻る運動)を過度に使用する、バレーボール、ハンドボール、ソフトボール、バドミントンなどのスポーツにおいても起こりえるケガなので成長期の子供達には気を付けてスポーツをしてもらえたらと思います。

上記でも書きましたが、骨端線が離開する前に肩や腕の筋肉のハリや疲労が溜まってきて少しでも違和感を感じたら、我慢せずに治療をして筋肉や関節のハリや疲労、緊張を取り除いておくことが大事だともいます。