交通事故のあと首の痛みや違和感が残るときの過ごし方|仕事・入浴・睡眠の注意点

交通事故のあと、整形外科などの医療機関で診てもらったものの、首の痛みや違和感、こわばりが残っている。そのようなとき、仕事や入浴、寝るときの姿勢、外出など、毎日をどう過ごせばよいか迷うことがあります。

日常生活の基本は、医師の指示を優先し、無理をしすぎず、かといって長い間まったく動かさないままにもしないことです。どの程度まで動いてよいかは首の状態によって違うため、迷うときは通院している医療機関に確認してください。

ただし、突然のしびれ、突然片方の腕や足に力が入らなくなった、事故のあとにけいれんが起きた(意識が戻った場合も含みます)といった場合は、救急車(119番)を呼んでください。新しく出た、または強くなってきたしびれや力の入りにくさは、様子を見ずに、すぐに医療機関を受診してください。頭を打った覚えがなくても、事故のあとに頭痛が強くなる、吐き気が続くといった変化があれば、同じようにすぐに受診してください。詳しくは次の見出しで整理しています。

この記事は、医療機関で確認を受けたあとの方に向けて、日常生活の過ごし方をまとめたものです。まだ受診していない方や、事故のあと症状がいつごろから出るのかを知りたい方は、「むちうちの症状はいつから出るのか」の記事もご覧ください。

内容は、医学資料にもとづく一般的な情報と、当院で実際に患者さんへ説明している内容をまとめたもので、診断ではありません。当院での説明にあたる部分は、「当院では」と分けて書いています。首の状態の診断は、医療機関で行われます。

先に確認したい:救急車を呼ぶ目安と、すぐに受診したい症状

交通事故のあとに受診を急ぐかどうかは、症状の出方によって変わります。消防庁、MSDマニュアル家庭版(医学専門資料)、千葉県の資料と、英国の公的医療サービス(NHS)の解説(英語資料)をもとに、この記事で次のように分けて示します。ここに挙げたのはすべてではありません。当てはまらなくても不安なときや、いつもと違うと感じるときは、医療機関に相談してください。

  • 119番(救急車):意識がおかしい、突然のしびれ、突然片方の腕や足に力が入らない、事故のあとにけいれんが起きた、歩く・話すことが難しいなど
  • すぐに医療機関を受診(様子を見ない。夜間・休日は救急外来へ):新しく出た、または強くなってきたしびれや力の入りにくさ、頭痛がだんだん強くなる、吐いた・吐き気が続く、めまいがする、短い時間でも意識を失ったなど
  • 救急車を呼ぶか迷うとき:千葉県の救急安心電話相談(#7119)。明らかに緊急と感じるときは119番
  • 通院している医療機関に相談:医療機関で確認を受け、上の症状がない方で、首の痛みやこわばり、背中の重だるさなどがよくならないときや、心配なとき

救急車(119番)を呼ぶとき

消防庁の資料「救急車を上手に使いましょう」は、おとなが次のような状態のときを、すぐに救急車を呼ぶ目安に挙げています。この記事に関係の深いものを抜き出しました。

  • 意識がない(返事がない)、またはもうろうとしている、ぐったりしている
  • 突然のしびれ、突然片方の腕や足に力が入らなくなる
  • 突然の激しい頭痛、支えなしで立てないぐらい急にふらつく
  • ろれつがまわりにくい、顔半分が動きにくい・しびれる、突然周りが二重に見える
  • 冷や汗を伴うような強い吐き気
  • けいれんが止まらない、けいれんが止まっても意識がもどらない
  • その他、いつもと違う場合、様子がおかしい場合

頭を打った場合や、事故のあとに頭への影響が疑われる症状がある場合は、さらに注意が必要です。英国の公的医療サービス(NHS)の頭部外傷の解説(英語資料)は、頭を打ったあとに次のような状態があるときは、救急車を呼ぶよう示しています。

  • けいれんが起きた(意識が戻った場合も)
  • 体のどこかに、新しいしびれや力が入らない状態がある
  • 歩く、バランスをとる、話す、理解する、書くことが難しい
  • 意識を失ったまま目が覚めない、起きていられない
  • 見え方や聞こえ方がおかしい
  • 耳や鼻から透明な液体が出る
  • 怒りっぽくなる、ぼんやりする、周りに関心がなくなるなど、行動が変わった

MSDマニュアル家庭版は、頭のけがの多くは直接の衝撃によるものだとしたうえで、頭を打っていなくても脳が損傷を受けることはあるとしています。そのため、この記事では、頭を直接打ったかどうかだけで判断しません。頭を打ったかどうか分からない場合も、事故のあとに上のような症状があれば、119番に連絡してください。消防庁の資料は、けいれんについて「止まらない」「止まっても意識がもどらない」場合を挙げていますが、事故で頭を打った場合や頭への影響が疑われる場合は、けいれんが止まって意識が戻っても119番に連絡してください。

事故の直後で、まだ医療機関で確認を受けていない場合も注意が必要です。消防庁の資料は、交通事故にあった(強い衝撃を受けた)ことも、救急車を呼ぶ目安に挙げています。MSDマニュアル家庭版も、自動車の衝突などで頭やほかの部位にけがをしたと考えられる人がいれば、救急車を呼ぶべきだとしています。

これらに当てはまる場合は、相談窓口に先に電話をかけず、119番に連絡してください。

すぐに医療機関を受診してほしいとき(夜間・休日は救急外来へ)

次のような症状は、首や背中の神経の損傷や、頭のけがによる可能性がある症状です。救急車を呼ぶほどではないと感じても、様子を見ずに、すぐに医療機関を受診してください。翌日以降に延ばさず、夜間・休日は救急外来を受け付けている医療機関を受診してください。

首や背中の神経に関係する症状として、MSDマニュアル家庭版「首の痛み」と、NHSのむちうちの解説(英語資料)は、次のようなものを挙げています。

  • 新しく出た、または強くなってきたしびれやピリピリする感じ(体の片側でも両側でも)
  • 手や腕、脚に力が入りにくい、感覚が鈍くなった
  • 歩くことや、まっすぐ座ることが難しい
  • 首や背中に、電気が走るような感じがある(腕や脚に広がることもあります)
  • 痛み止めを使っていても、痛みが強い
  • 物を飲み込みにくい、飲み込むと痛む

ただし、突然起きたしびれや、突然片方の腕や足に力が入らなくなった場合は、前の「救急車(119番)を呼ぶとき」に当たります。頭を打った場合や、事故のあとに頭への影響が疑われる症状がある場合に、新しいしびれや力の入りにくさが出たときも、119番に連絡してください。

頭を打った場合や、頭を打った覚えがなくても事故のあとに次のような症状が出た・続く場合も、すぐに医療機関を受診してください。MSDマニュアル家庭版「頭部外傷の概要」と、NHSの頭部外傷の解説(英語資料)にもとづいて整理しています。

  • 短い時間でも意識を失った(意識は戻った)
  • 吐いた、吐き気が続く、何度も吐く
  • 頭痛がだんだん強くなる
  • めまいがする
  • 血液をサラサラにする薬を使っている(受診の際に、使っている薬を伝えてください)

頭痛や吐き気、めまいがあるだけで、一律に救急車を呼ぶという意味ではありません。ただし、意識がもうろうとする、起きていられない、けいれん、新しいしびれや力が入らない状態、歩く・話すことの難しさ、見え方や聞こえ方の異常、行動の変化を伴う場合は、119番に連絡してください。突然の激しい頭痛や、冷や汗を伴うような強い吐き気も、119番の目安です。

受診するときは、次の点に気をつけてください。

  • ご自身で車を運転して受診しないでください。NHSの頭部外傷の解説(英語資料)は、頭を打った人は自分で運転して救急部門に行かないよう示しています。家族などに付き添ってもらってください。
  • 付き添いがいない、移動が難しい、救急車を呼ぶか迷うといった場合は、119番か、次の「救急車を呼ぶか迷うとき」の#7119に連絡してください。
  • 待っている間に急に悪化した、動けなくなった、意識がおかしくなったといった場合は、119番に連絡してください。

しびれや力の入りにくさを、筋肉のこわばりや疲れだろうと自己判断しないでください。受診先の選び方については、「交通事故のあと、まず整形外科を受診する理由」の記事で詳しく説明しています。

救急車を呼ぶか迷うとき

千葉県の救急安心電話相談(#7119)は、具合が悪くなり、医療機関を受診するか救急車を呼ぶか迷ったときに相談できる窓口です。24時間365日対応しています。電話によるアドバイスで、診断や治療はできません。

#7119は、受診の代わりではありません。相談して受診をすすめられた場合は、受診してください。前の「救急車(119番)を呼ぶとき」に当てはまる場合や、明らかに緊急と感じる場合は、相談より119番を優先してください。

医療機関で確認を受け、ここまでの症状がない方は、次の見出しから日常生活の過ごし方をご覧ください。首の痛みやこわばりがよくならないときや、心配なときは、通院している医療機関に相談してください。

医療機関で確認したあとの基本の考え方

医師の指示を優先する

安静にする期間や、仕事、運転、入浴、通院などについて医師から指示を受けている場合は、その指示に従ってください。この記事の内容より、実際に診察した医師の指示が優先です。首の装具(カラー)を使うかどうかも、医師の判断に従ってください。

当院は、医師に代わって首の状態を診断したり、仕事や運転を再開してよいかを判断したりすることはできません。

「無理をしない」と「まったく動かさない」は違う

当院では、首に腫れや炎症、強い痛みがある間は、無理をしないよう説明しています。めまいや吐き気、しびれがある場合も、無理な活動を避けるようお伝えしています。これらの症状がある方は、前の「すぐに医療機関を受診してほしいとき」に当てはまらないかも確認してください。

一方で、英国の資料(英語資料)では、首を長い間まったく動かさないことは勧められていません。NHSのむちうちの解説は、首を長い時間休ませ続けないこと、少し痛んでも普段の生活の動作を続けることが回復を早めるとしています。英国の病院(Leeds Teaching Hospitals NHS Trust)の首のけがの患者向け資料も、長い間動かずにいることは勧められないとし、最初の3日を過ぎても安静を続けると、首の動きの回復が大きく遅れたり、痛みが続いたりすることがあるとしています。

これらは英国の一般向けの説明で、すべての方に当てはまる決まりではありません。どの程度まで動いてよいかは、けがの状態によって違います。動いてよい範囲に迷うときは、通院している医療機関に確認してください。

痛みが軽い日でも、急に活動量を増やさない

当院では、痛みが軽く感じる日でも、急に運動や活動量を増やさないよう説明しています。事故の前と同じ身体の使い方に急に戻すと、痛みがぶり返したり、強くなったりする場合があるためです。運動や仕事の量を戻す時期に迷うときは、医師に確認してください。

冷やす?温める?

冷やすか温めるかは、首の状態と事故からの日数によって考えます。すべての方に当てはまる決まりはなく、医師から指示がある場合は、その指示を優先してください。

当院では、首に腫れや熱感がある場合は、冷やすよう説明しています。事故のあと2〜3日間は原則として温めず、冷やす方針です。その後に温めるかどうかは、事故からの日数と首の状態を確認して判断しています。医師の診断や指示も確認しています。

医学資料では、MSDマニュアル家庭版「首の痛み」が、痛む部分を冷やすか温めることが助けになる場合があるとしています。どの時期にどちらを使うかの目安は示されていません。英国の病院(Leeds Teaching Hospitals NHS Trust)の首のけがの患者向け資料(英語資料)は、冷やすのは受傷後3日以内、温めるのは最初の3日を過ぎてからが効果的としています。これは英国の病院の説明で、日本で一律に決められた基準ではありません。

冷やしたり温めたりしているときに、痛みが強くなる、しびれが出てきた・強くなったといった変化があれば、続けずに、通院している医療機関に相談してください。新しく出た、または強くなってきたしびれや力の入りにくさは、前の「すぐに医療機関を受診してほしいとき」に当たります。

事故の直後にしておきたいことは、「交通事故後、当日〜72時間にやるべきこと」の記事で詳しく説明しています。

お風呂・シャワーはどうする?

ここで紹介するのは、当院で実際に説明している内容です。すべての方に共通する医学的な決まりではありません。医師から入浴について指示がある場合は、その指示を優先してください。

当院では、事故の直後の2〜3日間や、首に炎症や腫れ、熱感がある場合は、湯船につかるのを控えるよう説明しています。シャワーは利用していただいています。

いつから湯船につかってよいかは、首の状態によって違います。迷うときは、通院している医療機関に確認してください。

仕事中の姿勢と身体の使い方

デスクワークや同じ姿勢が続く仕事

MSDマニュアル家庭版「首の痛み」は、長時間座り続けること(特にパソコンや電話などの電子機器を使っているとき)のように、症状を悪化させる行動を避けると役に立つことがあるとしています。英国の病院の首のけがの患者向け資料(英語資料)も、座っているときなどに同じ姿勢を長く続けないよう示しています。

当院では、デスクワークや長い時間同じ姿勢で過ごす方に、その方に合った姿勢や身体の使い方をお伝えしています。合う姿勢は人によって違うため、状態を確認したうえで個別に説明しています。状態に応じて、すき間時間にできる軽いストレッチや運動を説明することもありますが、方法は首の状態によって変わるため、この記事では具体的な方法を紹介していません。

痛みやしびれが出る、または強くなる動きは続けず、通院している医療機関に相談してください。

重い物を持つ仕事

当院では、重い荷物を持ち上げる仕事の方に、首や腰への負担を軽くする身体の使い方を説明しています。こちらも状態によって説明が変わるため、この記事では具体的な方法を紹介していません。重い物を持つ仕事にいつ戻ってよいかは、医師に確認してください。

寝るときの姿勢

当院では、痛みや身体の状態に応じて、寝る姿勢の説明を変えています。普段眠りやすい姿勢も確認したうえで考えます。姿勢を気にしすぎて、かえって眠れなくならないようにすることも大切にしています。そのため、この記事では「この寝方が正しい」という一律の姿勢は紹介していません。

痛みで眠れない状態が続く場合は、通院している医療機関に相談してください。

旅行や外出はどう考える?

当院では、旅行や外出をしてよいかどうかを、一律には判断していません。医師の診断と指示を確認したうえで、その時点の状態を考えてお伝えしています。

仕事に戻る時期は、医師に確認してください。NHSのむちうちの解説(英語資料)は、痛み止めを使っても痛みが強い、しびれやピリピリする感じがある、手足に力が入りにくいなど、急いで相談する必要がある症状がある場合、医療機関などに相談するまで、運転や自転車など危険を伴うことを避けるよう案内しています。運転を再開する時期については、受診先の医師に確認してください。頭を打った場合や、事故のあとに頭への影響が疑われる症状がある場合も、運転してよいかを医師に確認してください。

後から出てきた症状をどう考えるか

当院には、事故からしばらくたってから、腕や指のしびれが出てきた、背中がこわばる・重だるい、筋肉の緊張感が強いといったご相談が寄せられています。こうした症状の原因は、この記事では判断できません。次のように考えてください。

  • 腕や指のしびれが突然起きた場合、片方の腕や足に力が入らない場合、頭を打ったあとや頭への影響が疑われる症状とともに出た場合は、救急車(119番)を呼んでください。
  • それ以外でも、しびれが新しく出た、または強くなってきた場合は、様子を見ずに、すぐに医療機関を受診してください。
  • 背中のこわばりや重だるさ、強い筋肉の緊張感は、よくならない、強くなる、心配といった場合に、通院している医療機関に相談してください。

MSDマニュアル家庭版は、頭のけがによる症状は、けがから数時間後に現れ、ときには何日もたってから現れることもあるとしています。事故から日がたっていても、「先に確認したい:救急車を呼ぶ目安と、すぐに受診したい症状」に当てはまる症状が出たときは、そちらに従ってください。

当院に相談する場合

前の「先に確認したい:救急車を呼ぶ目安と、すぐに受診したい症状」に当てはまる場合は、当院への相談より先に、救急車(119番)や医療機関の受診を優先してください。

当院では、交通事故によるけがのご相談に対応しています。交通事故のあとは、まず医療機関を受診していただくよう案内しています。首の状態の診断や、仕事・運転を再開してよいかの判断は、医療機関で行われます。

院長が青いクリップボードに挟んだ用紙を、向かいの方へ手渡している様子

施術のあとは、お身体の状態に応じて、日常生活での注意点をお伝えしています。この記事で紹介した、冷やす・温める、入浴、仕事中の姿勢、寝る姿勢、外出についての説明も、その一部です。施術による改善が難しいと判断した場合は、その旨をご説明し、施術を行わないことがあります。施術の効果や回復までの期間を、一律にお約束するものではありません。

当院では、交通事故後の首の痛みや違和感について、施術を受けるか決める前のご相談にも対応しています。ご相談のみの場合、相談料はかかりません。

また、交通事故によるけがで自賠責保険が適用される場合、施術の窓口負担が0円になることがあります。適用の可否や費用負担は状況によって異なるため、事前にご相談ください。

詳しい流れは施術の流れをご覧ください。料金は料金案内に、野田市にある当院へのアクセスはアクセスに、ご予約の方法はご予約のページにまとめています。

参考にした資料

各資料の内容は、2026年10月23日に確認しました。この記事の「119番」「すぐに医療機関を受診」「#7119」「通院している医療機関に相談」の区分は、これらの資料の記載をもとに、この記事で整理したものです。資料がこの区分で示しているわけではありません。

英語資料は、英国の公的医療サービス(NHS)と英国の病院による一般向けの解説です。英国の受診先(救急車の999番、かかりつけ医、電話相談のNHS 111など)は日本と異なるため、この記事では日本の119番・医療機関の受診・#7119に置き換え、元の資料より緊急性を弱めないように整理しました。日本で一律に決められた基準として紹介しているものではありません。

日本語の資料

英語資料

  • NHS「Head injury and concussion」(英語資料):英国の公的医療サービスによる頭部外傷の解説。救急車を呼ぶ目安と、すぐに受診したい症状の整理に使用しました。
  • NHS「Whiplash」(英語資料):英国の公的医療サービスによるむちうちの解説。すぐに受診したい首の症状と、日常生活の考え方の補足に使用しました。
  • Leeds Teaching Hospitals NHS Trust「Acute neck sprains」(英語資料):英国の病院による首のけがの患者向け資料。冷やす・温めるの時期と、長く動かずにいることについての補足に使用しました。

この記事を書いた人:すまいる鍼灸整骨院 院長 上床

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